びんのなかのせかい
びんの中の世界

冒頭文

正坊(まさぼう)のおじいさんは、有名(ゆうめい)な船乗(ふなの)りでした。年(とし)をとって、もはや、航海(こうかい)をすることができなくなってからは、家(うち)にいて、ぼんやりと若(わか)い時分(じぶん)のことなどをおもい出(だ)して、暮(く)らしていられました。 おじいさんは、しまいには、もうろくをされたようです。すくなくも、みんなには、そう思(おも)われたのでした。なぜなら、海(うみ)の

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1927(昭和2)年1月号

底本

  • 定本小川未明童話全集 5
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年3月10日