なつかしまれたひと
なつかしまれた人

冒頭文

町(まち)の運輸会社(うんゆがいしゃ)には、たくさんの人(ひと)たちが働(はたら)いていました。その中(なか)に、勘太(かんた)というおじいさんがありました。まことに、人(ひと)のいいおじいさんであって、だれに対(たい)してもしんせつであったのであります。 若(わか)いものたちがいい争(あらそ)ったりしたときは、いつもおじいさんが中(なか)にはいって仲裁(ちゅうさい)をしました。 「まあ、す

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話」1926(大正15)年3月

底本

  • 定本小川未明童話全集 5
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年3月10日