さばくのまちとサフランしゅ
砂漠の町とサフラン酒

冒頭文

むかし、美(うつく)しい女(おんな)が、さらわれて、遠(とお)い砂漠(さばく)のあちらの町(まち)へ、つれられていきました。疲(つか)れているような、また、眠(ねむ)いように見(み)える砂漠(さばく)は、かぎりなく、うねうねと灰色(はいいろ)の波(なみ)を描(えが)いて、はてしもなくつづいていました。 幾日(いくにち)となく、旅(たび)をすると、はじめて、青(あお)い山影(やまかげ)を望

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話」1925(大正14)年6月

底本

  • 定本小川未明童話全集 5
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年3月10日