ぎんのつえ
銀のつえ

冒頭文

あるところに、いつも遊(あそ)び歩(ある)いている男(おとこ)がありました。兄(にい)さんや、妹(いもうと)は、いくたび彼(かれ)に、仕事(しごと)をはげむようにいったかしれません。けれど、それには耳(みみ)を傾(かたむ)けず、街(まち)のカフェーへいって、外国(がいこく)の酒(さけ)を飲(の)んだり、紅茶(こうちゃ)を喫(きっ)したりして、終日(いちんち)ぼんやりと暮(く)らすことが多(おお)か

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話」1924(大正13)年11月

底本

  • 定本小川未明童話全集 5
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年3月10日