かぜのさむいよのなかへ
風の寒い世の中へ

冒頭文

一 お嬢(じょう)さんの持(も)っていましたお人形(にんぎょう)は、いい顔(かお)で、めったに、こんなによくできたお人形(にんぎょう)はないのでしたが、手(て)もとれ、足(あし)もこわれて、それは、みるから痛(いた)ましい姿(すがた)になっていました。 けれど、お嬢(じょう)さんは、そのお人形(にんぎょう)に美(うつく)しい着物(きもの)をきせて、本箱(ほんばこ)の上(うえ)に

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1925(大正14)年3月

底本

  • 定本小川未明童話全集 5
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年3月10日