かぜとき からすときつね
風と木 からすときつね

冒頭文

風(かぜ)と木(き) 広(ひろ)い野原(のはら)は、雪(ゆき)におおわれていました。無情(むじょう)な風(かぜ)が、わが世顔(よがお)に、朝(あさ)から夜(よる)まで、野原(のはら)の上(うえ)を吹(ふ)きつづけています。その寒(さむ)い風(かぜ)にさまたげられて、木(き)の枝(えだ)は、すこしもじっとしておちついていることができません。しきりに振(ふ)り起(お)こされては、氷(こおり)のよ

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1927(昭和2)年4月

底本

  • 定本小川未明童話全集 5
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年3月10日