おけらになったはなし
おけらになった話

冒頭文

あるところに、あまり性質(せいしつ)のよくない男(おとこ)が住(す)んでいました。この男(おとこ)は平気(へいき)で、うそをつきました。また、どうしてもそれがほしいと思(おも)えば他人(たにん)のものでも、だまってそれを持(も)って帰(かえ)りました。 こういう人間(にんげん)をば、世間(せけん)は、いつまでも知(し)らぬ顔(かお)をしておきませんでした。みんなは、だんだんその男(おとこ

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1926(大正15)年10月

底本

  • 定本小川未明童話全集 5
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年3月10日