いっぽんのぎんのはり
一本の銀の針

冒頭文

一 兄(あに)と妹(いもうと)は、海岸(かいがん)の砂原(すなはら)の上(うえ)で、いつも仲(なか)よく遊(あそ)んでいました。 おじいさんは、このあたりでは、だれ一人(ひとり)、「海(うみ)の王(おう)さま」といえば、知(し)らぬものはないほど、船乗(ふなの)りの名人(めいじん)でありました。ほとんど一生(しょう)を海(うみ)の上(うえ)で暮(く)らして、おもしろいこと、つら

文字遣い

新字新仮名

初出

「少年倶楽部」1927(昭和2)年2月

底本

  • 定本小川未明童話全集 5
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年3月10日