いきているかんばん
生きている看板

冒頭文

町(まち)から、村(むら)へつづいている往来(おうらい)の片側(かたがわ)に、一軒(けん)の小(ちい)さなペンキ屋(や)がありました。主人(しゅじん)というのは、三十二、三の男(おとこ)であったが、毎日(まいにち)なにもせずに、ぶらぶらと日(ひ)を送(おく)っていました。このあたりの商店(しょうてん)は、一度(ど)、かけた看板(かんばん)は汚(よご)れて、よくわからなくなるまで、懸(か)けておくの

文字遣い

新字新仮名

初出

「早稲田文学」1927(昭和2)年11月

底本

  • 定本小川未明童話全集 5
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年3月10日