〔われはダルケをなのれるものと〕
〔われはダルケを名乗れるものと〕

冒頭文

われはダルケを名乗れるものと つめたく最後のわかれを交はし 閲覧室の三階より 白き砂をはるかにたどるこゝちにて その地下室に下り来り かたみに湯と水とを呑めり そのとき瓦斯のマントルはやぶれ 焔は葱の華なせば 網膜半ば奪はれて その洞黒く錯乱せりし かくてぞわれはその文に ダルケと名乗る哲人と 永久(とは)のわかれをなせるなり

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 新修宮沢賢治全集 第六巻
  • 筑摩書房
  • 1980(昭和55)年2月15日