きょうえん
饗宴

冒頭文

ひとびと酸き胡瓜を噛み やゝに濁れる黄の酒の 陶の小盃に往復せり そは今日賦役に出でざりし家々より 権左エ門が集め来しなれ まこと権左エ門の眼双に赤きは 尚褐玻璃の老眼鏡をかけたるごとく 立つて宰領するこの家のあるじ 熊氏の面はひげに充てり 榾のけむりは稲いちめんにひろがり 雨は漟々青き穂並にうち注げり われはさながらわれにもあらず 稲の品種をもの云へば 或いはペルシャに

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 新修宮沢賢治全集 第六巻
  • 筑摩書房
  • 1980(昭和55)年2月15日