かんそうのあき
観相の秋

冒頭文

序 虚と実とは裏と表である。実にして虚、虚にして実なるが故に尊い。何れは先づ実相のまことを観、観て、深く到り得て、更に高く離れむ事をわたくしは願つてゐる。 実相に新旧のけぢめは無い。常に正しく新らしいからである。これを旧しとなすは観て馴れ過ぎたからである。一時の流行は時とともに滅びる。而も人はただ新奇を奔り求める事に於てのみ、その詩境を進め得るものと思つてゐる。然し何ぞ知らむ。此の東に於てひ

文字遣い

新字旧仮名

初出

ある人の庭「表現 2巻1号」1922(大正11)年1月1日<br>紅葉を焚いて「潮音 5巻1号」1919(大正8)年1月1日<br>山中消息「詩篇 3編1輯」1919(大正8)年1月1日<br>秋山の歌「大観 5巻2号」実業之日本社、1922(大正11)年2月1日<br>孟宗と月「大観 5巻2号」実業之日本社、1922(大正11)年2月1日<br>冬の山そば「大観 5巻2号」実業之日本社、1922(大正11)年2月1日<br>竹林の早春「大観 5巻2号」実業之日本社、1922(大正11)年2月1日<br>立枯並木の歌「大観 4巻7号」実業之日本社、1921(大正10)年7月1日<br>潮来の入江「大観 4巻7号」実業之日本社、1921(大正10)年7月1日<br>夜の雪「三田文学 8巻3号」1917(大正6)年3月1日<br>鳥の啼くこゑ「三田文学 8巻3号」1917(大正6)年3月1日<br>アツシジの聖の歌「大観 4巻7号」実業之日本社、1921(大正10)年7月1日<br>米の白玉「大観 4巻7号」実業之日本社、1921(大正10)年7月1日<br>犬と鴉「大観 4巻7号」実業之日本社、1921(大正10)年7月1日<br>童と母「潮音 3巻6号」1917(大正6)年6月1日<br>ほのかなるもの「ARS 1巻2号」1915(大正4)年5月1日

底本

  • 白秋全集 8
  • 岩波書店
  • 1985(昭和60)年7月5日