まなつのにほんかい
真夏の日本海

冒頭文

此の十年余り、海といへば太平洋岸の海しか見てゐないのであるが、時々子供の頃毎年親しんだ日本海の夏の海を思ひ返して見ると、非常に美しかつたといふ思ひ出が浮んで来る。 日本海の沿岸には一般に砂丘がよく発達してゐる。浪打ち際から真白な砂が数丁も続いて小高い丘になり、その丘を越えたあたりから松林になつてゐるのが普通である。そしてその松林を抜けた所に初めて漁村が見えることが多い。それといふのは、冬

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆56 海
  • 作品社
  • 1987(昭和62)年6月25日