かんどパルチザンのうた
間島パルチザンの歌

冒頭文

思ひ出はおれを故郷へ運ぶ 白頭の嶺を越え、落葉(から)松の林を越え 蘆の根の黒く凍る沼のかなた 赭ちゃけた地肌に黝ずんだ小舎の続くところ 高麗雉子が谷に啼く咸鏡の村よ 雪溶けの小径を踏んで チゲを負ひ、枯葉を集めに 姉と登った裏山の楢林よ 山番に追はれて石ころ道を駆け下りるふたりの肩に 背負(しょひ)繩はいかにきびしく食ひ入ったか ひゞわれたふたりの足に 吹く風はいかに血ごり

文字遣い

新字旧仮名

初出

「プロレタリア文学 臨時増刊」1932(昭和7年)年4月25日

底本

  • 槇村浩詩集
  • 平和資料館・草の家、飛鳥出版室
  • 2003(平成15)年3月15日