さんにんのひゃくしょう
三人の百姓

冒頭文

昔、ある北の国の山奥に一つの村がありました。その村に伊作(いさく)、多助(たすけ)、太郎右衛門(たろうえもん)という三人の百姓がありました。三人の百姓は少しばかりの田を耕しながら、その合間に炭を焼いて三里ばかり離れた城下に売りに行くのを仕事にしておりました。 三人の百姓の生れた村というのは、それはそれは淋(さび)しい小さな村で、秋になると、山が一面に紅葉(もみじ)になるので、城下の人たち

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論」1920(大正9)年6月

底本

  • 日本児童文学名作集(下)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1994(平成6)年3月16日