まちのこうふく |
| 街の幸福 |
冒頭文
盲目(めくら)の父親(ちちおや)の手(て)を引(ひ)いて、十二、三歳(さい)のあわれな少年(しょうねん)は、日暮(ひぐ)れ方(がた)になると、どこからかにぎやかな街(まち)の方(ほう)へやってきました。 父親(ちちおや)は、手(て)にバイオリンを持(も)っていました。二人(ふたり)は、とある銀行(ぎんこう)の前(まえ)へくると歩(あゆ)みをとめました。そこは、石畳(いしだたみ)になっていて、昼
文字遣い
新字新仮名
初出
「童話文学」1929(昭和4)年7月
底本
- 定本小川未明童話全集 6
- 講談社
- 1977(昭和52)年4月10日