さかやのワンこう
酒屋のワン公

冒頭文

酒屋(さかや)へきた小僧(こぞう)は、どこかの孤児院(こじいん)からきたのだということでした。それを見(み)ても、彼(かれ)には、頼(たよ)るものがなかったのです。 ものをいうのにも、人(ひと)の顔(かお)をじっと見(み)ました。その目(め)つきはやさしそうに見(み)えたけれど、なんとなく、不安(ふあん)な影(かげ)が宿(やど)っていました。 「もしや、自分(じぶん)のいったことが、相手(あ

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話文学」1928(昭和3)年7月

底本

  • 定本小川未明童話全集 6
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年4月10日