きたのしょうじょ |
| 北の少女 |
冒頭文
少年(しょうねん)は、海(うみ)をながめていました。青黒(あおぐろ)い水平線(すいへいせん)は、うねりうねっていました。それはちょうど、一連(れん)の遠(とお)い山脈(さんみゃく)を見(み)るように思(おも)われたのです。そして、いまにもなにか不思議(ふしぎ)な、珍(めずら)しいものが、その小山(こやま)のいただきのあたりに跳(おど)り上(あ)がらないかと、はかない空想(くうそう)を抱(いだ)きな
文字遣い
新字新仮名
初出
「童話文学」1928(昭和3)年9月
底本
- 定本小川未明童話全集 6
- 講談社
- 1977(昭和52)年4月10日