おんせんへでかけたすずめ
温泉へ出かけたすずめ

冒頭文

雪(ゆき)が降(ふ)って、田(た)や、畑(はたけ)をうずめてしまうと、すずめたちは、人家(じんか)の軒端(のきば)近(ちか)くやってきました。もう、外(そと)に落(お)ちている餌(え)がなかったからです。朝早(あさはや)くから、日暮(ひぐ)れ方(がた)まで、窓(まど)の下(した)や、ごみ捨(す)て場(ば)などをあさって、やかましく鳴(な)きたてていました。 そのうちに、どこからか、彼(かれ)ら

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1928(昭和3)年3月

底本

  • 定本小川未明童話全集 6
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年4月10日