もめんいぜんのこと
木綿以前の事

冒頭文

自序 女と俳諧(はいかい)、この二つは何の関係も無いもののように、今までは考えられておりました。しかし古くから日本に伝わっている文学の中で、是(これ)ほど自由にまたさまざまの女性を、観察し描写し且つ同情したものは他にありません。女を問題とせぬ物語というものは昔も今も、捜して見出すほどしか無いといわれておりますが、それはみな一流の佳人(かじん)と才子、または少なくとも選抜せられた或る男女の

文字遣い

新字新仮名

初出

木綿以前の事「女性」1924(大正13)年10月、何を着ていたか「斯民家庭」1911(明治44)年6月、昔風と当世風「彰風会講演」1928(昭和3)年3月、働く人の着物「旅と伝説」1936(昭和11)年7月、国民服の問題「被服」1939(昭和14)年5月、団子と昔話「ひだびと」1936(昭和11)年3月、餅と臼と擂鉢「社会経済史学」1934(昭和9)年1月、家の光「家の光」1926(大正15)年2月、囲炉俚談「文学」1935(昭和10)年3月、火吹竹のことなど「知性」1939(昭和14)年4月、女と煙草「ひだびと」1939(昭和14)年2月、酒の飲みようの変遷「改造」1939(昭和14)年2月、凡人文芸「短歌研究」1934(昭和9)年2月、古宇利島の物語「短歌民族」1933(昭和8)年5月、遊行女婦のこと「俳句研究」1934(昭和9)年4月、寡婦と農業「農業経済研究」1929(昭和4)年10月、山伏と島流し「俳句講座」1932(昭和7)年8月、生活の俳諧「第一高等学校講演」1937(昭和12)年12月、女性史学「実践女学校講演」1934(昭和9)年7月、女性史学「民間伝承」1936(昭和11)年3月

底本

  • 木綿以前の事
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1979(昭和54)年2月16日