つみ・くつう・きぼう・およびしんじつのみちについてのこうさつ
罪・苦痛・希望・及び真実の道についての考察

冒頭文

1 眞實の道は一本の繩——別に高く張られてゐるわけではなく、地上からほんの少しの高さに張られてゐる一本の繩を越えて行くのだ。それは人々がその上を歩いて行くためよりも、人々がそれに躓くためにつくられてゐるやうに思はれる。 2 すべての、人間の過失は、性急といふことだ。早まつた、方法の放棄、妄想の妄想的抑壓。 3 凡ての他の罪惡がそこから生ずる根元的な

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 中島敦全集 第三卷
  • 筑摩書房
  • 1975(昭和50)年9月30日