ろうこうふとでんとう ――おとなのどうわ――
老工夫と電灯 ――大人の童話――

冒頭文

崖(がけ)からたれさがった木(き)の枝(えだ)に、日(ひ)の光(ひかり)が照(て)らして、若葉(わかば)の面(おもて)が流(なが)れるように、てらてらとしていました。さびしい傾斜面(けいしゃめん)に生(は)えた、草(くさ)の穂先(ほさき)をかすめて、ようやく、この明(あか)るく、広(ひろ)い世界(せかい)に出(で)たとんぼが、すいすいと気(き)ままに飛(と)んでいるのも、なんとなく、あたりがひっそ

文字遣い

新字新仮名

初出

「解放」1926(大正15)年7月

底本

  • 定本小川未明童話全集 5
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年3月10日