あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで

冒頭文

大正八年十一月 遠いところで私を呼ぶ声がするので、ふと眼をさますと、枕もとに宿のおかみが立っていた。それを見ながら私はまたうとうとと深い睡りに落ちかかった。 「是非会わなければならないと言って、そとで誰方(どなた)か待っていらっしゃいます。おやすみになっていらっしゃいますと言っても、是非会わなければならないって——。」 私はゆめうつつに聴いていたが、もしやと思って

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 或る少女の死まで 他二篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1952(昭和27)年1月25日、2003(平成15)年11月14日改版