せんせいとせいと
先生と生徒

冒頭文

一 今日は、ひとつ、私の子供の時分——小学校時代のことを話しませう。私は八つから小学校へ上りましたが、その年が丁度「日露戦争」の終つた年でしたから、もうよつぽど古いことです。 その頃、私の村には小学校が二つありましたが、大きい方も小さい方も、どちらも尋常科だけで、高等科は隣村の町にしかなかつたのです。しかもその頃の尋常科は四年まででした。それで卒業なんです。 私の上つ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「教育論叢」1933(昭和8)年10月

底本

  • 日本児童文学大系 三〇巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日