こねこのさいばん
仔猫の裁判

冒頭文

「こどもクラブ」では、日曜日ごとに、朝の九時半から正午まで、子供会がありました。このクラブは、町の大人たちのつくつてゐる「睦会(むつみくわい)」の二階で、六畳の間二つが、ぶつ通しになる明るい部屋でした。 表の間の天井のまん中からは、色テープが八方に引きまはされ、それには、葡萄(ぶだう)の葉や果がブラ下つたやうに、色さまざまの紙かざりが吊(つ)り下げてありました。折紙細工の鶴(つる)や舟や兜(

文字遣い

新字旧仮名

初出

「教育論叢」1933(昭和8)年5月

底本

  • 日本児童文学大系 三〇巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日