はるちかきひ
春近き日

冒頭文

お母(かあ)さんが、去年(きょねん)の暮(く)れに、町(まち)から買(か)ってきてくださったお人形(にんぎょう)は、さびしい冬(ふゆ)の間(あいだ)、少女(しょうじょ)といっしょに、仲(なか)よく遊(あそ)びました。 それを、どうしたことか、このごろになって、お人形(にんぎょう)は、しくしくと泣(な)いて、お嬢(じょう)さんに願(ねが)ったのであります。 「どうか、私(わたし)をお母(かあ)

文字遣い

新字新仮名

初出

「子供之友」1926(大正15)年3月

底本

  • 定本小川未明童話全集 4
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年2月10日