むすめとおおきなかね
娘と大きな鐘

冒頭文

ある名(な)も知(し)れない、北国(ほっこく)の村(むら)に、あれはてたお寺(てら)がありました。そのお寺(てら)のあるところは、小高(こだか)くなった、さびしいところでありました。 本堂(ほんどう)から、すこしはなれたところに、鐘(かね)つき堂(どう)がありました。境内(けいだい)には、木(き)がたくさんしげっていました。春(はる)になると花(はな)が咲(さ)き、そして、新緑(しんりょく)に

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1924(大正13)年7月

底本

  • 定本小川未明童話全集 4
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年2月10日