ふしょうしたせんろとつき
負傷した線路と月

冒頭文

レールが、町(まち)から村(むら)へ、村(むら)から平原(へいげん)へ、そして、山(やま)の間(あいだ)へと走(はし)っていました。 そこは、町(まち)をはなれてから、幾(いく)十マイルとなくきたところでした。ある日(ひ)のこと、汽車(きしゃ)が重(おも)い荷物(にもつ)や、たくさんな人間(にんげん)を乗(の)せて過(す)ぎていきましたときに、レールのある部分(ぶぶん)に傷(きず)がついたので

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1925(大正14)年10月

底本

  • 定本小川未明童話全集 4
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年2月10日