つばさのやぶれたからす
翼の破れたからす

冒頭文

西(にし)の山(やま)のふもとの森(もり)の中(なか)に、からすが巣(す)を造(つく)っていました。そして、毎日(まいにち)、朝(あさ)はまだ、空(そら)の明(あ)けきらないうす暗(ぐら)いうちから、みんなのからすは列(れつ)をなして、東(ひがし)の空(そら)を指(さ)して高(たか)く飛(と)んでゆきました。 その時分(じぶん)、村(むら)では、起(お)きた家(うち)もあれば、まだ寝(ね)てい

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1924(大正13)年3月

底本

  • 定本小川未明童話全集 4
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年2月10日