きせんのなかのちちとこ
汽船の中の父と子

冒頭文

古(ふる)い、小形(こがた)の汽船(きせん)に乗(の)って、海(うみ)の上(うえ)をどこということなく、東(ひがし)に、西(にし)に、さすらいながら、珍(めずら)しい石(いし)や、貝(かい)がらなどを探(さが)していた父子(おやこ)の二人(ふたり)がありました。 あるときは、北(きた)の寒(さむ)いところで、名(な)もない小(ちい)さな島(しま)に上(あ)がって、珍(めずら)しい青(あお)い石

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1924(大正13)年9月

底本

  • 定本小川未明童話全集 4
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年2月10日