がっきのせいめい
楽器の生命

冒頭文

音楽(おんがく)というものは、いったい悲(かな)しい感(かん)じを人々(ひとびと)の心(こころ)に与(あた)えるものです。いい楽器(がっき)になればなるほど、その細(こま)かな波動(はどう)が、いっそう鋭(するど)く魂(たましい)に食(く)い入(い)るように、ますます悲(かな)しい感(かん)じをそそるのであります。そして、奏(かな)でる人(ひと)が、名手(めいしゅ)になればなるほど、堪(た)えがた

文字遣い

新字新仮名

初出

「随筆」1924(大正13)年4月

底本

  • 定本小川未明童話全集 4
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年2月10日