あかいふねのおきゃく
赤い船のお客

冒頭文

ある、うららかな日(ひ)のことでありました。 二郎(じろう)は、友(とも)だちもなく、ひとり往来(おうらい)を歩(ある)いていました。 この道(みち)を、おりおり、いろいろなふうをした旅人(たびびと)が通(とお)ります。 彼(かれ)はさも珍(めずら)しそうに、それらの人(ひと)たちを見送(みおく)ったのであります。 二郎(じろう)は、こうして街道(かいどう)

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話」1924(大正13)年5月

底本

  • 定本小川未明童話全集 4
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年2月10日