うしのうたちょうめんをきおくりょくでかきもどしたひと
失うた帳面を記憶力で書き復した人

冒頭文

五年九号四二頁に宮本君が書いた、周防大島願行寺にむかし住んだ、非常に強記な僧の話は、和漢諸方に古来類話が多い。今ほぼその話を添えられた本人どもの時代の新古に順次して、左のごとく列ね挙げる。 「蜀山人は、(中略)伝えていう、かの人江都(えど)小田原町辺の魚肆に因みありて往きかいけるが、一日かの家に往きけるおり、店(みせ)にありける帳を把(と)って、漫(すずろ)に披閲しけれども、その身に無用の物

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻44 記憶
  • 作品社
  • 1994(平成6)年10月25日