はがきつうしん
はがき通信

冒頭文

あちこちと出歩いて居りましたため御返事申おくれました。御手紙の御趣き承知いたしました。小生また〳〵転居と申すべきか、当分の間左記へ滞在いたします。三四日前からであります。一昨日三笠を見物し、日露戦争が恰度小生の七八歳の頃でさかんにこの軍艦の画を描いた昔を思出しました。 横須賀市山王町六八、浅尾方 牧野信一

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文藝通信 第二巻第十一号(十一月号)」文藝春秋社、1934(昭和9)年11月1日

底本

  • 牧野信一全集第五巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年7月20日