ことしのぶんだんをかいこする
今年の文壇を回顧する

冒頭文

一、昭和八年度文壇は貴下に如何なる感想を与へましたか 二、本年中で発表された作品で最も印象に残つたものは何ですか 二、あらためて振り返つて見ると、小生は今年あちこちと、さ迷ひ回つてゐたゝめに殆ど何も読まなかつたらしいのです。多少は読んだのだつたかも知れませんが、何も彼も濛つとしてゐてとりとめがありません、斯んな近事を誌すこと誠に汗顔の至りでありますが、何卒悪からず御諒察の程願ひます。

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文藝首都 第一巻第十二号(十二月号)」文學クオタリイ社、1933(昭和8)年12月1日

底本

  • 牧野信一全集第五巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年7月20日