ひとりごと
ひとりごと

冒頭文

(十月十六日)          * きのふ、おとゝひ、さきおとゝひ——と、あゝ、何といふ浅ましさであらう、嫌はれ、軽蔑され、憎がられて、ウマクもない酒をのんでの気違騒ぎ、あゝ、もう厭だ、断然、酒は御免だ。ペンを執らうにも、体全体がガタ〳〵とふるへてゐて、一向に埒はあかぬ。 メフイストフエレス「先づ第一に飲助達に御紹介申しませう。さうするとあなたは必ず此世は大変簡単に渡られるもの

文字遣い

新字旧仮名

初出

「作品 第三巻第十一号(十一月号)」作品社、1932(昭和7)年11月1日

底本

  • 牧野信一全集第五巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年7月20日