みたにきて
三田に来て

冒頭文

一 結廬古城下(いほりをむすぶこじようのした) 時登古城上(ときどきのぼるこじようのうへ) 古城非疇昔(こじようむかしのままにあらず) 今人自来往(こんじんおのずかららいあうす) 坂を登り、また坂を登り——そして、石垣の台上に居並ぶ家々のうちで、一番隅つこの、一番小さい家に居を移した。だが、朝から晩まで家中に陽があたつて、遠く西北方の空を指差すとゑん〳

文字遣い

新字旧仮名

初出

「時事新報 第一七四九四号、第一七四九五号、第一七四九六号」時事新報社、1932(昭和7)年2月20日、21日、22日

底本

  • 牧野信一全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年6月20日