まりこのこと
満里子のこと

冒頭文

苗字は省きますが満里子君は私の少数の女友達のうちで、数年以来変らぬ親愛と信頼とを惜みなく持ち続けてゐる可憐で快活な人です。満里子君も亦私に対して満腔の尊敬と敬愛とを捧げてゐます。つい此間満里子君は私の、これも亦満里子君同様に、私は親愛を、彼は敬愛を互ひに譲り合つた験しもないといふいとも円満な交遊を持ち続けてゐる私の年下の友達のR君と華燭の典を挙げました。 そのお祝ひの卓子(ていぶる)で、私は

文字遣い

新字旧仮名

初出

「婦人サロン 第三巻第十二号(十二月号)」文藝春秋社、1931(昭和6)年12月1日

底本

  • 牧野信一全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年6月20日