なんぷうふ・こうがい
南風譜・梗概

冒頭文

滝本守夫が父親を失つた後の家庭上の紛争に取り囲まれながら異母妹のローラのアメリカからの訪れを待つてゐるうちに、友達の妹(森百合子)の家出の事などを中心にして彼方此方に様々な形の低気圧が起らうとしてゐる明るい海辺の村の面貌を写し来つたのです。その間人物と事件が稍複雑となり、手短かに梗概を述べることは困難ではなからうかと気づいたので、一言に及んだ次第ですが、これは、斯様なゆくたてをはらむだ物語ではあり

文字遣い

新字旧仮名

初出

「婦人サロン 第三巻第八号」文藝春秋社、1931(昭和6)年8月1日

底本

  • 牧野信一全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年6月20日