〔こばやしひでおしへのこうかいじょう〕
〔小林秀雄氏への公開状〕

冒頭文

この手紙を書くべく考へはぢめて、もう十日あまりも経つのであるが、手紙といふても稍かたちの違ふものであるから、起きあがつてからと思つてゐるうちに、中々風邪が治らず、もう間に合ひさうもなくなつたから、寝たまゝ弁解風のことを書く。 この間、風邪をひいて寝たはぢめに、いつかの君の小篇小説「からくり」を読み直して、仲々面白かつた。これに就いての、愉快な読後感を書きおくらうと思つた。 いつ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「作品 第一巻第六号(十月号)」作品社、1930(昭和5)年10月1日

底本

  • 牧野信一全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年6月20日