エハガキのげきしょうぶん
エハガキの激賞文

冒頭文

友を訪ねて 僕は一ト頃外国製のエハガキを集めたことがある、その頃は、集めた数々のものを酷く大切にして、夫々のアルバムを「科学篇」とか「歴史篇」とか「物語篇」とか「考古篇」とか「美術篇」とか「地理篇」とかといふ風に分類して悦に入つた。稍ともすれば、それらのコレクシヨンを人知れず取り出して、何時までゝも眺めて空想にふるへた、知る人は多いことだらうが、エハガキに寄せる興味は、一種微妙な夢幻感と

文字遣い

新字旧仮名

初出

「時事新報 第一六五五六、一六五五八~一六五六〇号」時事新報社、1929(昭和4)年7月19、21~23日

底本

  • 牧野信一全集第三巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年5月20日