かいわいっぺん
会話一片

冒頭文

(Aは友Bは私) A「潤一郎の卍といふのを読んでゐる?」 B「面白さうだ、が余り短いので読まないよ。彼のものは長いのを一時に読むのが愉快だ。本になつたら読む。」 A「僕は大概始めから続けて読んでゐるが相変らず面白いよ。」 B「さう云へば君、菊池寛の半自叙伝は素的に面白いよ。今月だつてたつた二頁しか出てゐないが、これは僕は、毎月何んなに短くても屹度読んでゐる。第一

文字遣い

新字旧仮名

初出

「時事新報 第一六三六一号」時事新報社、1929(昭和4)年1月5日

底本

  • 牧野信一全集第三巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年5月20日