にっきより
日記より

冒頭文

私の日記には日の区ぎりがつけにくい、寝て、起る時間が、いつもあまりに滅茶苦茶だから——。          * 三人の友達が夫々不気嫌の床に就いてゐるので、だが一人は快く起き上つたといふことはきき、暫く会ひ損つてゐるので、会ひたく、兎に角三人のうちの一人でもを見舞ふつもりで汽車に乗つた。銀座へ出て、傍目も触らずに非常な速歩で歩いてゐると、だんだんに、どうして好いか解らない程な愴忙な気分

文字遣い

新字旧仮名

初出

「創作時代 第一巻第四号(十二月号)」文藝聯盟社、1927(昭和2)年12月10日

底本

  • 牧野信一全集第三巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年5月20日