ふねでついたまち
船でついた町

冒頭文

たいへんに、金(かね)をもうけることの上手(じょうず)な男(おとこ)がおりました。人(ひと)の気(き)のつかないうちに、安(やす)く買(か)っておいて、人気(にんき)がたつとそれを高(たか)く売(う)るというふうでありましたから、金(かね)がどんどんたまりました。 土地(とち)でも、品物(しなもの)でも、この男(おとこ)がこうとにらんだものは、みんなそういうふうに値(ね)が出(で)たのでありま

文字遣い

新字新仮名

初出

「国民新聞」1930(昭和5)年1月1日

底本

  • 定本小川未明童話全集 6
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年4月10日