ひすいをあいされたきさき
ひすいを愛された妃

冒頭文

昔(むかし)、ひすいが、ひじょうに珍重(ちんちょう)されたことがありました。この不思議(ふしぎ)な美(うつく)しい緑色(みどりいろ)の石(いし)は、支那(しな)の山奥(やまおく)から採(と)れたといわれています。そこで、国々(くにぐに)へまで流(なが)れてゆきました。 その時分(じぶん)の人々(ひとびと)は、なによりも、真理(しんり)が貴(とうと)いということには、まだよく悟(さと)れなかった

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人倶楽部」1928(昭和3)年7月

底本

  • 定本小川未明童話全集 6
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年4月10日