なまずとあざみのはなし
なまずとあざみの話

冒頭文

春(はる)の川(かわ)は、ゆるやかに流(なが)れていました。その面(おもて)に、日(ひ)の光(ひかり)はあたって、深(ふか)く、なみなみとあふれるばかりの、水(みず)の世界(せかい)が、うす青(あお)くすきとおって見(み)えるように思(おも)われました。 この不思議(ふしぎ)な殿堂(でんどう)の内(うち)には、いろいろの魚(うお)たちが、おもしろおかしく、ちょうど人間(にんげん)が地(ち)の上

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1928(昭和3)年5月

底本

  • 定本小川未明童話全集 6
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年4月10日