ぎんのペンセル
銀のペンセル

冒頭文

三味線(しゃみせん)をひいて、旅(たび)の女(おんな)が、毎日(まいにち)、温泉場(おんせんば)の町(まち)を歩(ある)いていました。諸国(しょこく)の唄(うた)をうたってみんなをおもしろがらせていたが、いつしか、その姿(すがた)が見(み)えなくなりました。そのはずです。もう、山(やま)は、朝晩(あさばん)寒(さむ)くなって、都(みやこ)が恋(こい)しくなったからです。 勇(ゆう)ちゃんも、も

文字遣い

新字新仮名

初出

「児童時代 創刊号」1930(昭和5)年12月

底本

  • 定本小川未明童話全集 7
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年5月10日