きんがでずに、なしのうまれたはなし
金が出ずに、なしの産まれた話

冒頭文

ある金持(かねも)ちが、毎日(まいにち)、座敷(ざしき)にすわって、あちらの山(やま)を見(み)ていますと、そのうちに、 「なにか、あの山(やま)から、宝(たから)でも出(で)ないものかなあ。」というような空想(くうそう)にふけりました。 その山(やま)というのは、あまり高(たか)くはなかったが、形(かたち)がいかにもよかったのです。 ちょうど、そのころ、旅(たび)の技師(ぎし)が、この村(

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話文学」1930(昭和5)年6月

底本

  • 定本小川未明童話全集 7
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年5月10日