おかあさんのかんざし
お母さんのかんざし

冒頭文

あるところに、母(はは)と少年(しょうねん)とがさびしく暮(く)らしていました。 あわれな母(はは)は、貧(まず)しかったから、その身(み)になんの飾(かざ)りというものをつけていなかったけれど、頭(あたま)の髪(かみ)に、青(あお)い珠(たま)のついているかんざしをさしていました。少年(しょうねん)は、そのお母(かあ)さんのかんざしを見(み)ることが大好(だいす)きでした。なぜなら、自分(じ

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話研究」1929(昭和4)年7月

底本

  • 定本小川未明童話全集 7
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年5月10日