いきたにんぎょう
生きた人形

冒頭文

ある町(まち)の呉服屋(ごふくや)の店頭(てんとう)に立(た)って一人(ひとり)の少女(しょうじょ)が、じっとそこに飾(かざ)られた人形(にんぎょう)に見(み)いっていました。人形(にんぎょう)は、美(うつく)しい着物(きもの)をきて、りっぱな帯(おび)をしめて、前(まえ)を通(とお)る人(ひと)たちを誇(ほこ)らしげにながめていたのです。 「私(わたし)が、もしあのお人形(にんぎょう)であった

文字遣い

新字新仮名

初出

「サンデー毎日 7巻49号」1928(昭和3)年10月28日

底本

  • 定本小川未明童話全集 6
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年4月10日